DAWのプロジェクト一覧を開くと、作りかけの曲がずらりと並んでいる。10個、20個。どれも途中で止まったまま。「自分は飽き性なんだ」と落ち込んでいませんか。
先に結論を言います。作りかけが多いこと自体は、必ずしも悪いことではありません。そして、もし完成させたいなら、足りないのは根性ではなく「完成させるスキル」だけです。
この2つを分けて考えると、今の焦りはかなり軽くなります。作りかけが多い=才能がない、ではないということから話します。
この記事でわかること
- 作りかけの曲が増えてしまう本当の原因
- 「飽き性」ではなく「完成スキル未習得」という再定義
- 作りかけが多くても、実はそれほど問題ない理由
- 途中で止まった曲を完成に変える、具体的な手順
なぜ作りかけの曲ばかり増えるのか

結論から言います。作りかけが増えるのは、あなたが飽き性だからではありません。「曲を最後まで仕上げる」という作業を、まだ練習していないだけです。
曲作りには2つの別々のスキルがあります。1つは「思いつく力」。もう1つは「最後まで仕上げる力」。多くの人は前者だけが先に育ち、後者を練習する機会がないまま止まります。
新しいアイデアが浮かぶと、止まっている曲より楽しく感じます。だから次の新規プロジェクトを開く。これは意志が弱いのではなく、仕上げの工程を経験していないから、楽しい入口ばかり繰り返してしまうだけなんです。
もう一つ、見落とされがちな事実があります。途中でやめた曲の中には、「その曲で学ぶべきことを学び終えたから、自然に次へ進んだ」ケースが混じっています。これは失敗ではなく、前進です。全部の作りかけが、ダメな作りかけとは限りません。
だから、まず作りかけを2種類に分けて見てください。「学びを終えて自然に離れた曲」と「仕上げ方が分からなくて止まった曲」。前者は寝かせていい。問題は後者だけです。全部を一緒くたに「自分の怠慢の証拠」と見るから、必要以上に落ち込むんです。
未完成プロジェクトが30個あった頃の話

正直に言うと、私も作りかけだらけでした。一時期、完成しないまま放置したプロジェクトが30個を超えていました。
新しい曲を始めるたびに「今度こそ最後まで」と思う。でもサビまで作ると満足してしまったり、ミックスで詰まったりして、また次の曲へ。当時は本気で「自分には継続力がない」と思い込んでいました。
でも、あるとき気づいたんです。途中でやめた曲の多くは、その時点で新しい技術やアイデアを一つ手に入れていた。コード進行を試した、新しいプラグインを覚えた、リズムの組み方を発見した。学び終えたから、次の課題に手が伸びていたんです。
つまり作りかけの山は、失敗の記録ではなく練習の軌跡でした。問題だったのは数ではなく、「完成という出口を一度も通っていない」ことだけ。だから、完成の手順さえ覚えれば、戻ってきて仕上げられると分かったんです。
作りかけを完成に変える手順

ここからは具体的な手順です。全部を一気に完成させる必要はありません。1曲、出口を通す経験を作ることから始めます。
①A=DTM初心者:一番進んでいる1曲だけを選ぶ
まず、作りかけの中から一番完成に近い1曲だけを選びます。新しい曲は今日は開かない。全部やろうとすると、また全部が中途半端になります。
選んだら、足りないパートを箇条書きにします。「2番がない」「アウトロが未完成」など3つ以内に。多ければ、その曲は一度寝かせて、もっと完成に近いものを選び直します。
まず、プロジェクト一覧を開いて、完成に一番近い1曲に印をつけてください。それだけでいいです。今日はそれ以上やらなくて大丈夫です。
②B=DTM脱初心者:「コピペ完成」で出口を覚える
脱初心者は、構成を作り込もうとして止まりがちです。そこで最初の1曲は1番の展開を2番にコピペして、最後まで強引に通す。完璧な編曲は狙いません。
目的は名曲を作ることではなく、「最後まで通す」という出口の感覚を体に覚えさせること。一度ゴールを通ると、次からは途中で迷っても「ここを抜ければ終わる」と分かるようになります。
私が最初に1曲を強引に通したときも、出来は正直ひどかったです。でも「終わらせた」という感覚だけは残った。その1回があってから、不思議と次の曲は途中で投げ出さなくなりました。完成は技術より先に、まず体験として必要なんです。
まず、止まっている1曲を、雑でいいので最後まで繋いで書き出してみてください。それだけでいいです。粗さは後で直せます。
③C=DTM中級者:ストックを「寝かせ棚」として活用する
残った作りかけは、消さずに「寝かせ棚」として持っておきます。作りかけは在庫ではなく、アイデアの貯金だからです。
新しいスキルが身についた数ヶ月後に戻ると、当時詰まっていた箇所があっさり解けることがよくあります。8小節のループだけ残しておけば、未来の自分が完成させてくれる。どんどん作って、また戻ってくればいいんです。
寝かせ棚を作るときは、ファイル名に一言メモを足しておくと効きます。「サビ良い・2番未定」のように、何が出来ていて何が足りないかを残す。半年後の自分は、当時の頭の中を覚えていません。一行のメモが、戻ってきたときの再開コストを劇的に下げます。
まず、作りかけフォルダの中から「これは未来に化けそう」と思う1曲を選んでおいてください。それだけでいいです。捨てる必要はありません。
ここまで読んで「自分の曲はどこで止まっているかわからない」と感じた方は、制作の詰まりポイントを30分で一緒に特定できます。
→ 詰まりポイントを特定する(無料)
作りかけの山は、あなたが動いてきた証拠
作りかけが増えるたびに、自分を責めてきたかもしれません。でも、その山は、あなたが手を止めずに作り続けてきた証拠でもあります。
1曲も始められない人もいる中で、あなたは何十回も「作りたい」と思って、実際に手を動かしてきた。その衝動の量こそ、これから完成を量産していくための燃料です。
足りないのは才能でも継続力でもなく、出口を通る経験だけ。1曲、最後まで通せば、残りの作りかけが急に「あと少しで終わるもの」に見え始めます。どんどん作って、また戻ってくればいい。その自由さが、あなたの強みです。
よくある質問(FAQ)
Q. 作りかけは全部完成させるべきですか?
A. いいえ。全部完成させる必要はありません。学びを終えた曲は寝かせていい。大事なのは「完成を一度も経験していない」状態を抜けることです。まず1曲、出口を通せば十分です。
Q. 新しい曲を作りたくなるのは、悪い癖ですか?
A. 悪い癖ではありません。新しいアイデアが湧くのは健全な創作衝動です。ただ、その衝動だけで進むと出口を通れない。新規制作の合間に「完成専用の時間」を週1回だけ作ると、両方が回り始めます。
Q. どの作りかけから手をつければいいか分かりません。
A. 一番完成に近い1曲を選びます。クオリティが高い曲ではなく、残り作業が少ない曲。出口に近いものから通すのが、完成の感覚を最短で得るコツです。
Q. あなたは今、どこで止まっていますか?
A. ①そもそも完成を一度も経験していない/②構成を作り込もうとして止まる/③完成させたい1曲が決まっていない。どこで止まっているかが分かれば、次の一手は決まります。
まとめ:今日は1曲だけ選ぶ

今日読んだことを、あなたのプロジェクト一覧に当てはめると、最初に通すべき1曲はどれですか?
作りかけが多いのは、飽き性ではありません。完成スキルがまだ未習得なだけ。そして全部が無駄なわけでもない。一番近い1曲を選び、雑でいいから出口を通す。それだけで、山が宝の山に変わります。
あなたの作りかけの山が、いつか誰かの夜を照らす曲に変わりますように。
制作の「詰まりポイント」を特定する30分(無料)/DAWの画面を共有しながら、止まっている原因を一緒に探します。毎月限定数のみ選考制。今日の次の一手だけを明確にします。
関連記事:曲の完成基準がわからない人へ/曲がプロっぽくならない人に足りないもの
-「DTMLab」とは-
当サイト「DTMLab」は、DTM講師ハイアットがDTM初心者に向けて発信しています。
ハイアット
「どこで壁にぶつかり、何を試し、どう変わったのか」
その中で見えてきた「どの音を選び、どう配置するか」をポイントにしてます!
詳しいプロフィールはこちら

